行政書士試験で、一番点数を取る必要があるのは、行政法です。
この理由は、実に簡単です。
行政法は、行政書士試験の中で一番問題が多く、難易度も難しくないからです。
そのため、行政法は、得点源にするべきです。
しかし、行政書士試験の行政法の勉強をするのは、独学では、難しいと考えがちです。
そのような事はありません。
法律の国家資格の中で、行政法を出題している試験があります。
新司法試験です。
行政法を勉強するのであれば、新司法試験の行政法のレベルまで勉強をすればいいのです。
このような事を言いますと、レベルが高すぎると考える人がいるかもしれません。
そのような事はありません。
現在の行政書士試験の行政法の問題のレベルは、完全に新司法試験の行政法の問題のレベルです。
これは、実際に新司法試験の行政法の勉強をして、行政書士試験に合格した私だからわかることです。
行政書士試験に合格するための行政法の勉強方法は、新司法試験の行政法の教本を一冊読んで、あとは新司法試験の行政法の出題された過去問を解けば十分です。
これだけで、行政法の問題を解く把握力・読解力・理解力は、恐ろしいほど鍛えられます。
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平成22年度の行政書士試験の行政法の傾向と対策
まず、行政書士の試験の中で1番簡単な科目は、間違いなく行政法です。
この行政法では、かなりの高得点を取らないと、行政書士の試験に合格するのは難しくなります。
平成22年度の行政書士の行政法は、私が問題を解いた限りでは19問中11問正解でした。
ただし、1年間まったく行政書士の試験の勉強をしていない状態です。
行政書士の試験に合格するのであれば、19問中16問は正解したいです。
行政法の勉強方法は、新司法試験の行政法の勉強をするのが一番です。
特に、新司法試験の行政法の過去問を解けば、かなり実力がつきます。
ただし、行政書士の試験に初めて受験する人は、最初から新司法試験の勉強をしても、理解できません。
新司法試験の行政法のレベルは、行政書士試験のレベルの知識が当然あると踏まえたうえで、問題が出題されます。
そのため、行政書士試験を初めて受験される方は、
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を教本として読んで、過去問の勉強を、
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で勉強して、行政書士の行政法の最低限の知識をつけてください。
行政書士試験の科目全般に言えることですが、行政書士試験の勉強として行政書士の過去問を勉強しても、行政書士の試験にまず合格できません。
平成18年度から行政書士試験の出題形式が変更されましたが、平成22年度までほとんど同じような過去の出題された問題は、出題されていません。
行政書士試験に合格するために重要なことは、初めて行政書士の受験をする人は、まずは行政書士の過去問の勉強で基礎の力をつけます。
その後に、難易度の高い司法試験・新司法試験・司法書士試験の勉強をすることで、行政書士試験に合格できる力がつきます。
行政書士試験の受験経験がある方は、最初から難易度の高い司法試験・新司法試験・司法書士の試験の勉強をしましょう。
行政書士の行政法で勉強をすることになる新司法試験の過去問は、完全解答の問題がたくさんあります。
すべての選択肢の正誤を解答することで、すべての選択肢が正解であれば、その問題は正解となります。
正確には、新司法試験では、選択肢を1問間違えただけでも、部分点はもらえます。
しかし、行政書士試験に合格するのであれば、すべての選択肢が正解でなければ、その問題は間違いの解答であることにしましょう。
そのぐらい厳しく勉強をすれば、行政法は得点源になります。
行政法の出題分野の地方自治法は、出題範囲が広すぎるため、勉強をしなくても、ある程度の法律の問題を解く実力があれば解ける問題が多いです。
地方自治法の勉強方法に、悩んでいる人は、2011年版 らくらく行政書士 講義そのまんま。以外は勉強しないと割り切れば大丈夫です。
私は、そのような勉強方法で、行政書士に合格しました。
地方自治法に勉強時間を掛けるのでしたら、他の行政法に勉強の時間を掛けたほうが、必ず得点力が上がります。
今の行政書士試験の行政法の問題は、新司法試験の問題を意識して出題されています。
1度、新司法試験の行政法の過去問を確認してください。
そのことがよく分かります。
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過去問を解いた後は、同じ問題を復習する事が大切です。
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行政書士試験問題をうまく解く方法。行政法の試験勉強方法。
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行政法は、行政書士の試験科目で、最も出題問題数が多い科目です。
地方自治法以外は、まんべんなく行政法の中から出題されます。
判例が他の試験科目に比べて少ないので、難解な科目ではありません。
しっかり勉強して、得点源にしましょう。
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その後に、新司法試験短答式公法系問題集を行政法の科目だけ全て解いてください。(無料レポートの「日本語がわかれば誰でもできる!効果抜群、記憶術」の復習方法で勉強をしてください。)
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中央大学真法会編 新司法試験短答式公法系問題集から引用します。
新司法試験、平成19年度第21問を例にしますと、
国家賠償法に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例に照らし、
正しいものに○、誤っているものに×を付した場合の組合せを、後期1から8までの中から選びなさい。
ア 国の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、軽過失によって違法に他人に損害を与えた場合には、
その被害者に対しては国のみが責任を負うが、当該公務員に故意又は重過失がある場合には、
国及び当該公務員のいずれもが被害者に対し直接に責任を負う。
イ 国家賠償法第2条第1項の責任は無過失責任であるから、被告である国又は公共団体において、
損害の発生が不可抗力によるものであることを立証しても、同項の責任を免れることはできない。
ウ 国家賠償法第2条第1項の営造物の設置又は管理の瑕疵とは、利用者にとって営造物が通常有すべき安全性を欠いている状態をいうのであって、
同項の規定は当該営造物の利用者以外の者に対しては適用されない。
1 ア○ イ○ ウ○ 2 ア○ イ○ ウ× 3 ア○ イ× ウ○
4 ア○ イ× ウ× 5 ア× イ○ ウ○ 6 ア× イ○ ウ×
7 ア× イ× ウ○ 8 ア× イ× ウ×
この問題は、全ての選択肢を解かなければなりません。
このような問題を解くことによって、法律に対する把握力・読解力・理解力が身につきます。
解答・解説
ア 誤り。
最判昭30・4・19は、国家賠償の請求について、「国又は公共団体が損害賠償の責に任ずるのであって、
公務員が行政機関としての地位において賠償の責任を負うものではなく、また公務員個人もその責任を負うものではない」としている。
これに対して、本肢は、軽過失か故意または重過失かに場合分けをした上で、後者の場合に、公務員個人も被害者に対し直接に責任を負うとしている。
したがって、本肢は誤りである。
イ 誤り。
最判昭45・8・20は、国家賠償法2条に基づく賠償責任について、過失の存在を必要としないとしている。
もっとも、この判例は、不可抗力ないし回避可能性のない場合であることを認めることができる場合には、
国又は、公共団体において、同項の責任を免れることができるとしている。
これに対して、本肢は、不可抗力によるものであることを立証しても、同項の責任を免れることはできないとしている。
したがって、本肢は誤りである。
ウ 誤り。
最大判昭56・12・16は、国家賠償法2条にいう公の営造物の設置又は管理の瑕疵について、
「通常有すべき安全性を欠いていること」としている。
したがって、本肢前段は正しい。
しかし、安全性の欠如すなわち他人に危険を及ぼす危険性のある状態がある場合、
その危害は、「営造物の利用者に対してのみならず、利用者以外の第三者に対するそれをも含む」としている。
したがって、利用者以外の者に対しては適用されないとする本肢後段は誤りである。
以上、アイウとも誤っているので、正解は8となる。
このレベルの問題が、今の行政書士の試験では出題される可能性が高いです。
今の時期では、このレベルの問題は、ある程度正解できるようになってなければいけません。
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中央大学真法会編 新司法試験短答式公法系問題集から引用します。
新司法試験、平成19年度第37問を例にしますと、
行政事件訴訟法上の取消訴訟に関する次のアからエまでの各記述について、法令及び最高裁判所の判例に照らし、
それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。
ア 取消訴訟においては、行政処分の違法一般が審理の対象となるから、
原告は、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることもできる。
イ 国家公務員に対する停職の懲戒処分がされた後、その処分について人事院に対する審査請求がされ、
人事院が処分の内容を減給に修正する裁決をした場合には、原処分ではなく、裁決の取消しを求めなければならない。
(参照条文) 国家公務員法
第92条 第1項・・・(前略)・・・調査の結果、処分を行うべき事由のあることが判明したときは、人事院は、その処分を承認し、又はその裁量により修正しなければならない。
ウ 国家公務員に対する懲戒処分の取消訴訟において、国家公務員法上の懲戒事由があると認められる場合、
裁判所は、懲戒権者と同一の立場に立って懲戒処分をすべきであったかどうか又はいかなる処分を選択すべきであったかについて判断し、
その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、
その処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したか否かについて判断すべきである。
エ 取消訴訟における行政処分の違法判断の基準時は、行政処分がされた時点であると解すべきであるから、
処分の適法性の判断に用いられる科学的、専門技術的知見も、処分当時のものに限定される。
この問題は、全ての選択肢を解かなければいけません。
このような問題を解くことによって、法律に対する把握力・読解力・理解力が身につきます。
解答・解説
ア 誤り。
行政事件訴訟法10条1項は、「取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることはできない。」と定めている。
したがって、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることもできるとする本肢は、誤っている。
イ 誤り。
最判昭62・4・21は、「一般職の国家公務員に対する懲戒処分につき、人事院の修正裁決があった場合には、
原処分は、当初から修正裁決による修正どおりの法律効果を伴う懲戒処分として存在していたものとみなされることになるものと解すべきである。」としており、
よって、取消訴訟は修正裁決でなく、原処分に対して提起すべきである。
したがって、裁決の取消しを求めなければならないとする本肢は、誤っている。
ウ 正しい。
最判昭52・12・10は、「裁判所が右の処分の適否を審査するにあたっては、懲戒権者と同一の立場に立って懲戒処分をなすべきであったかどうか又はいかなる処分を選択すべきであったかについて判断し、
その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、
懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきものである。」としている。
したがって、本肢は正しい。
エ 誤り。
最判平4・10・29は、「原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理、判断は、
原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門的技術的な調査審議及び判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、
現在の科学技術水準に照らし、右調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点(略)があり、
被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の右判断に不合理な点があるものとして、違法と解すべきである」としている。
したがって、違法判断の基準時は、現在の科学技術の水準に照らして判断されるものであり、
処分当時のものに限定されるとする本肢は、誤っている。
以上、正解は、2、2、1、2です。
このレベルの問題が、今の行政書士の試験では出題される可能性が高いです。
この問題は、全ての選択肢が正解の場合のみ、解答を正解としてください。
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新司法試験、プレテスト第19問を例にしますと、
行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条第1号にいう「個人に関する情報」(以下個人情報という。)について述べた次のアからエまでの各記述につき、
それぞれ、正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。
ア 個人情報の開示請求を受けた行政機関の長は、条文上、身分関係など当該個人のプライバシーにかかわるもののみ開示しないことができると規定されている。
イ 他の情報と照合することによって初めて特定の個人を識別できる個人情報の開示請求を受けた行政機関の長は、
当該情報のみでは特定の個人を識別することができず、当該個人の権利利益を害するおそれもないのであるから、当該情報を開示しなければならない。
ウ 事業を営む個人の当該事業に関する情報は、法人等に関する情報と同様の要件により、
不開示情報該当性を判断することが適当であることから、個人情報から除外されている。
エ 個人情報の開示請求を受けた行政機関の長は、当該情報が慣行として一般に公にされているとしても、
個人のプライバシーを最大限保護するために、当該情報を開示しないことができる。
この問題は、全ての選択肢を解かなければいけません。
このような問題を解くことによって、法律に対する把握力・読解力・理解力が身につきます。
解答・解説
ア 誤り。
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下、「情報公開法」という)は、個人識別情報を原則として不開示とした上で、個人の権利利益を侵害せず、
不開示にする必要のないもの、及び、個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため、
開示すべきものを但書で例外的に開示事項として列挙している。
したがって、情報公開法は、条文上、身分関係など当該個人のプライバシーにかかわるもののみ開示しないことができると規定してはいない。
よって、本肢は誤り。
イ 誤り。
他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものも、不開示情報たる「個人の情報」に含まれる。
よって、本肢は誤り。
ウ 正しい。
事業を営む個人の当該事業に関する情報の開示・不開示の判断は、
法人等の事業活動情報と同様の基準で行われるべきであるとの観点から、かかる情報は情報公開法5条1号柱書にいう「個人に関する情報」から除外されている。
よって、本肢は正しい。
エ 誤り。
個人情報であっても、当該情報が慣行として公にされている場合には、「個人に関する情報」から除外されている。
よって、本肢は誤り。
以上により、正解は、2、2、1、2です。
このレベルの問題が、今の行政書士の試験では出題される可能性が高いです。
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中央大学真法会編 新司法試験短答式公法系問題集から引用します。
新司法試験、プレテスト第33問を例にしますと、
行政手続法第4章に関する次のアからエまでの各記述についてそれぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。
ア 行政手続法によれば、行政指導は、行政機関の任務又は所掌事務の範囲内で行わなければならない。
したがって、行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱して行われた行政指導の効果は行政主体には帰属せず、
国家賠償法の対象とならない。
イ 行政手続法によれば、行政指導に携わる者は、相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
法令違反行為に対して行政指導をしたにもかかわらず、行政指導の相手方が従わなかった場合に、
当該違反行為について法令上規定された不利益処分を行政庁が行うことは、ここにいう「不利益な取扱い」に直ちに該当するものではない。
ウ 行政手続法によれば、行政指導を行うに際しては、相手方から求めがなくても、
同法の定める例外に該当しない限りは、行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を記載した書面を行政指導の相手方に交付しなければならない。
エ 行政手続法によれば、同一の行政目的を実現するため、一定の条件に該当する複数の者に対して行政指導をしようとするときは、
あらかじめ、事案に応じ、これらの行政指導に共通してその内容となるべき事項を定め、かつ、行政上特別の支障のない限り、公表しなければならない。
この問題は、全ての選択肢を解かなければなりません。
このような問題を解くことによって、法律に対する把握力・読解力・理解力が身につきます。
解答・解説。
ア 誤り。
確かに、行政手続法32条1項によれば、行政指導は、行政機関の任務又は所掌事務の範囲内で行われなければならない。
しかしながら、行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱した行政指導について、
判例は違法な公権力の行使になるとして、国家賠償法1条1項による国家賠償の対象になるとしている。
よって、本肢は誤り。
イ 正しい。
行政手続法32条2項によれば、行政指導に携わる者は、相手方が行政指導に従わなかったことを理由として不利益な取扱いをすることは許されない。
もっとも、法令違反行為に対して行政指導をしたにもかかわらず行政指導の相手方を従わなかった場合に、
当該違反行為について法令上規定された不利益処分を行政庁が行うことは、
法令違反に基づく不利益処分であるから、行政事件訴訟法上の「不利益な取扱い」には含まれない。
よって、本肢は正しい。
ウ 誤り。
行政手続法35条2項は、「行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前項に規定する事項を記載した書面の交付を求められたときは、
当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。」として、
相手方の求めがない場合には行政指導を口頭ですることが認められている。
よって、本肢は誤り。
エ 正しい。
行政手続法36条は、「同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、
行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、これらの行政指導に共通してその内容となるべき事項を定め、
かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない。」と定めている。
よって、本肢は正しい。
以上、正解は2,1,2,1です。
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新司法試験、平成20年第23問を例にしますと、
次のアからエまでの各記述について、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。
ア 行政は、国民の代表によって作られた法律に従って行われなければならないのが原則であるが、
行政上の法律関係においても、慣習法の適用が排除されるわけではない。
イ 最高裁判所の判例によれば、民事上の法律関係を規律する原理として生まれた信義誠実の原則は、
租税法律主義が妥当する租税法律関係については適用されないと解されている。
ウ 国家における行政組織のうち、少なくともその基本構造については、国会が定めるべきものと解されている。
エ 最高裁判所の判例によれば、職員が通達を違法と考えた場合、その通達に沿った上司の命令に服従すべき義務はなく、
服従拒否を理由とする懲戒処分は違法になると解されている。
この問題は、全ての選択肢を解かないといけません。
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解答・解説
ア 正しい。
行政法においては、法律による行政の原理からして慣習法は認められないとする説もあるが、
行政権限の根拠に関する法ではなく、行政権限行使の対象となる私人の権利自由の根拠に関しては、
既存の法律に反しない限り、慣習法の成立の余地を認める見解が多数を占めている。
イ 誤り。
最判昭62・10・30は「租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理である信義則の法理の適用により、
右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、
法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、
右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、
公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ、
正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。」としている。
したがって、判決は、一定の場合には課税処分についても信義則が適用されることを肯定しているものと思われる。
したがって、最高裁判所の判例によれば信義誠実の原則は、租税法律主義が妥当する租税法関係については適用されない、としている点で本肢は誤りである。
ウ 正しい。
行政組織に関する基本的事項は法律で定めるべきものと解されている。
なぜなら、行政組織の基本的事項は、直接国民の権利義務に関わるものではないが、
行政組織についての民主的統制という観点から法律の形式によるべきであるからである。
したがって、本肢は正しい。
エ 誤り。
最判平15・1・17は、通達について地方公務員は、「上司の職務命令に重大かつ明白な瑕疵がない限り、これに従う義務を負う」としている。
したがって、職員が単に通達を違法と考えたにすぎない場合には、職員はこれに服従すべき義務を負っていることになる。
したがって、服従すべき義務はないとしている点で、本肢は誤りである。
以上、正解は1,2,1,2、です。
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